チェンライの日々

タイ(チェンライ)に住んで15年。日々の暮らしを綴ります。

豊かな時間

私はまだ寝て居た。
「焼き飯食べるかっ!」
怒った様に、妻が私を叩き起こしに来た。
朝から何なんだろうと思ったが、
一瞬閃いた。
私が喫茶店でサンドイッチを食べるので妬いて居るのだろう。
妻に妬かれたら仕方が無い。
「ハイ、焼き飯」と答えた。
でも睡魔には勝てずまた寝た。
暫くして「写真、写真」と寝室に焼き飯を持って来た。
こうなったら起きるしか無い。
寝ぼけ眼でヨロヨロしながら立ち上がった。
食卓には焼き飯が飾られて居た。
随分、力の入った焼き飯だった。
昨日も豚ステーキを作ったのに、
最近、力が有り余ってるのだろうか。
日本に居た時は毎日近所のスーパーで刺身を買って済ませてたのに…。
20年経って、愛情が増して来たのだろうか。
いや、そんな事は…。
きっとコロナで手持ち無沙汰なんだろう。
朝から腹ポンポンで、もう、喫茶店のコーヒーも飲めなくなった。



ところで自動歯磨き器が壊れたので、デパートの電気屋に行ったら、
見本しか無くって、しかもその見本も古いので売れませんとの事。
この階の薬局に有りますと言われて行くと、何と同じ物を電気屋の半額で売って居た。
まさか薬局に有るとは思わなかった。
ついでにダイソーとKOMONOYAにも行った。
妻と一緒に行くと便利だ。
デパートの入口で妻がスマホでQ Rコードをかざす。
私は何もしなくて良い。
検温だけされる。
ところで帰り道に喫茶店の前を通ったら貼り紙がして在った。
今日1日お休みだと。
よく休む店だ。
ボチボチ自分で読める様にならなければ…。



元々私はコーヒーを飲むタイプでは無かった。
味の違いも分からなかった。
近所に喫茶店が出来てから毎日コーヒーを飲む様になった。
最初はラテとかカプチーノとか色々飲んで居たが、
コーヒーに慣れて来ると、ブラックを飲む様になった。
或る時、いつもの喫茶店の定休日に、他の喫茶店に行って見た。
すると、とても不味かった。
えっ、こんなに味が違うの?
ブラックだから余計に味の違いが分かったのだろう。
コロナで閉鎖中、遠くのガソリンスタンド併設店にも行って見た。
味は違ったが、レベルは同じだった。
安い店はコーヒーが不味いのでは無く、
単に店主に拘りが無いのでは?
或いは店主も違いが分からないレベルかも…。


ところで、私にとって豊かな時間とは、
喫茶店で一人コーヒーを飲みながら、
日本で妻と過ごした楽しかった頃などを思い出す事。
するともう一度楽しい時間を過ごして居る気がする。
随分、後ろ向きだと思うが、
私にとっては優雅な時間の過ごし方とも言える。
そして、喫茶店を出て現実に戻り、
家に帰って妻の手料理を食べる。
いつの日か、妻の手料理の数々を、楽しい思い出として振り返り、
豊かな時間を過ごす日が来るのだろうか。