名も知らぬ木の匂い
昨日に続いて今日も雨がしとしと降ったり止んだり。
もう梅雨に入ったのだろうか。
温度計は昼間でも24度以上にならない。
少し前までは30度を超えて居たのに…。
お陰で空気も綺麗になって、冷たく湿った空気が心地良い。
昔、京都の嵯峨野に伯母の家が在った。
その家の庭は何時も独特な木の香りがして居た。
その家の思い出と言えば、真っ先にその木の匂いが浮かんで来る。
その匂いを嗅げば、あゝ親戚の家に来たんだなと言う実感がした。
その家には男ばかりの3人の従兄が居て、
一番下の従兄は私と年齢が近く、
相性が良かったのか?いつもよく喧嘩をした。
私は元々大人しい性格だから、彼が負けず嫌いな性格だったせいだろう。
いや、私も案外頑固な性格だったのかも知れない。
どちらかが泣くまで喧嘩は終わらなかった。
そして、喧嘩が終われば直ぐ仲良く遊んだ。
伯母の家は借家だったのか、その後山科に引っ越した。
そして、それと共に、その庭の木の匂いともお去らばとなった。
今はそれがどんな匂いだったかは思い出せないが、
独特な匂いと言う事だけはハッキリ覚えて居て、他の何処にも無い匂いだった。
今思ってもそれがとても残念で、
出来る事なら、もう一度あの家に行って、匂いを嗅ぎたくなるくらいだ。
そして、当時を懐かしみたい。
勿論、タイでもその匂いの木にはお目に掛かって居ない。
一体あの木は何と言う名前の木だったんだろう。
今では知る由も無い。
まあ、タイの庭に咲いて居るプルメリアの花やくちなしの花の匂いを嗅いで、
慰めるしかあるまい。