タイに住んで10年(其の5)
家の話をしたので、ついでに庭の話もして置きたい。
私が庭は芝生にする予定と言った時、
木を植えればいいと忠告してくれた人が居た。
その時は、長年の夢だった芝生に憧れて居たので、
そう言う忠告は耳に入らなかった。
今それを非常に後悔して居る。
もう少し視野を広く持つべきだった。
ネットを見て、色々検討すべきだった。
いや、ネットで調べても、木の素晴らしさは経験しなければ、
その良さは分からなかっただろう。
今更木を植えても、伸びるのに何年も掛かる。
あの時植えて居れば、もう10年経ってるから、相当伸びてるはずだ。
タイでは芝生もいいが、やはり木の涼しさには敵わない。
それに芝生は雑草との闘いになる。
木は生い茂ると、下には雑草も生え難くなる。
竹を植えた事が有るが、下が笹の葉だらけになり、芝生も枯れてしまった。
以前、妻に木を植えれば良かったと言った事が有る。
彼女は、蚊と蛇で大変だとか言って居た。
私も真剣に思って居た訳では無かったので、それ以上言わなかった。
我が家は街中なので、木が林立して林の様になれば、折角広い庭なのにと、
いつも後悔して居る。
今更木を植えるのも癪なので、木を植え無くて良かったと思える様な、
そう言うアイデアが何か無いかと思案して居る。
少し庭の広いお宅には、大抵家の回りに木が植えて有る。
いや、狭い庭でも、木が覆い繁って居る家が有る。
そんな家を見ると、さぞかし涼しい事だろうと羨ましくて仕方がない。
ところが我が家の向かいに一本の木も植えて無い家が有る。
地面は全てコンクリートで覆われ、雑草の生える余地も無い。
植木鉢一つ置いて無い。
それが、ご主人は何と森林保全の公務員とか。
木に飽き飽きして居るのだろう。
それと、妻の実家の近所に、お年寄りの一人暮らしで、見事な芝生の家が有る。
どうやらタイでも、木を植える派と植えない派が有る様だ。
これで少しは私の気持ちも慰められると言うものだが、
本当は木を植えたかった。
それも「この木何の木、気になる木…」と言う歌で有名な、
あんな大きな木を植えたかったのだ。
(つづく)